結論:この記事で分かること
社内資料を生成AIで作るときに決めるのは、どのツールで作るかではありません。何をどこまで言葉にして渡すかです。
この記事の結論は3つです。
- 生成AIに任せられるのは、構成の検討と、文章を資料の形に仕上げる作業です。報告する事実は自分で用意し、技術的な判断も自分で行います。
- 思ったとおりの資料にならない原因の一つは、読み手、目的、盛り込む内容、提示方法、制約が十分に渡っていないことです。これらが言葉になっていれば、同じ内容から読み手ごとの資料へ作り分けられます。
- 文章の下書きなどでは資料作成の工数を減らせる場合があります。ただし、ソフトの操作やレイアウト作業の削減幅は利用環境と資料によって変わります。技術内容の確認は残り、返ってきた文章を読む作業は増えます。
対象は社内向けの報告書、提案資料、議事録、技術メールです。社外へ提出する文書は、記載してよい範囲や書式が定められていることが多く、進め方が変わります。
基礎整理:社内資料を内容、構成、形式に分ける
社内資料は、内容、構成、形式の3つに分けられます。任せられる範囲は、この3つで違います。
内容は、実験結果、試験条件、数値、進捗、そこから導いた技術的な結論です。事実は自分で用意し、技術的な判断も自分で行います。実験結果や数値を渡さずに書かせると、それらしい記述で埋められます。どの結果から書かれたものかをたどれないため、後から確かめられません。
構成は、何をどの順で示し、何を根拠に何を主張するかです。正解が一つに決まらないため、案を出させて選ぶ、あるいは自分の案に指摘させる進め方が向きます。
形式は、2つの意味を含みます。ひとつは資料の形で、テキスト、文書ファイル、スライド、表計算、HTMLなど、何として出すかです。もうひとつは提示の仕方で、説明の順序、分量、図表と文字の比率、用語の水準、言い回しが入ります。ここは多くを任せられます。
社外向けの文書は、この3つの扱いが変わります。記載してよい範囲、使ってよい用語、書式が先に決まっているため、入力を定型化し、決められた形式へ出力する仕組みづくりが中心になります。生成AIが担うのはその一部で、処理の流れ自体を別に組む必要が出てきます。社内向けの資料は形式の自由度が高く、読み手も社内にいるため、書き手の判断で進められます。

思ったとおりの資料にならないとき、足りていないのは何か
指示の書き方を工夫しても使える資料にならない場合、渡す情報が足りていないことがあります。
渡す情報は次の5つに分けられます。
- 誰に:読み手と、その人に判断してほしいこと
- 何のために:その資料を作る目的
- 何を:盛り込む事実と技術的な判断
- どのように:用語の水準、言い回し、説明の細かさ
- 制約:枚数、時間、提出先、期限
この5つを言葉にすることを、この記事では言語化と呼びます。
渡す情報が不足すると、求める出力とずれたり、一般的な内容に留まったりする場合があります。出力された文章は整って見えるため、読み流すと気づきません。用語が社内で通じない水準になっている、条件付きで得られた結果から条件が抜けている、といった形で現れます。
ここが、この記事でもっとも重要な点です。十分に渡さなかった項目は、後で読んで直す対象になりやすくなります。先に言語化する労力と、後で修正のやり取りを重ねる労力は、同じものの前払いと後払いです。
言語化した内容は、一つの資料のためだけのものではありません。誰に、何のために、何を伝えるかが言葉になっていれば、同じ内容から報告書も、提案資料も、会議で配る文書も作れます。言語化は、その資料を作るための準備であると同時に、次の資料の入口にもなります。
進め方:目的を渡し、内容を入れ、テキストで受け取る
社内資料を作るときの進め方は、次の順になります。
生成AIへ、先に目的と読み手を渡します。誰が読み、その人に何を判断してほしいのかを伝えます。同じ実験結果でも、次の実験計画を承認してもらう資料と、進捗を共有する資料では、構成が変わります。
次に、事実を入れます。体裁を整える必要はありません。箇条書きのまま渡してかまいません。整えるのは後の工程です。
構成は相談で決めます。構成案を複数出させて選ぶか、自分の案を先に出して抜けを指摘させるかの2通りがあります。後者は自分の考えが先にある分、返答の良し悪しを判定しやすくなります。
受け取る形式は、テキストかマークダウンにします。テキストは装飾のない文字だけの記述で、特定の文書ソフトに依存しにくく、多くの環境で扱えます。マークダウンはテキストの一種で、見出しや箇条書きを記号で表します。対応する生成AIや変換ツールを使えば、その構造を基に文書ファイル、スライド、HTMLなどへ変換できます。ただし、形式ごとのレイアウトや一部の要素は調整が必要です。
この段階でスライドの形にしないほうが進めやすくなります。体裁が整っていると内容の不足に気づきにくくなること、修正箇所を文章として指示しやすいこと、そして後で読み手ごとの資料へ変換する元になることが理由です。
返ってきた内容が意図と違うときは、理由を添えて返します。どこがどう合わなかったのかを伝えると、次の返答が近づきます。一度で完成させようとせず、やり取りを重ねて詰めていく前提で進めます。
作る工数を減らせる場合があり、読む作業は増えます
生成AIを資料作成に使うと、文章の下書きなどでは全体の工数を減らせる場合があります。ただし、すべての作業が一様に減るわけではありません。
文書・スライド作成ソフトの操作やレイアウト作業には、文字の配置、図の並べ方、ページの割り振りなどがあります。これらの作業をどこまで減らせるかは、利用環境と資料によって変わります。
技術的な主張、条件、前提の確認は残ります。体裁の確認と技術内容の確認は別のもので、前者の負担を減らせる場合でも後者は残ります。
増えるのは、読む量です。ドラフトを受け取り、修正を伝え、修正版をまた読む、という往復で読む文章は、自分で書いていたときより多くなります。資料の分量が大きいほど、この往復での負担が大きくなります。
読むときに見る対象は3つです。
- 専門用語:業界内、社内で通じる水準になっているか。一般的な言葉へ置き換えられ、技術的な意味が落ちていないか
- 言い回し:読み手に対して、丁寧さや説明の細かさが合っているか
- 条件と前提:どの条件で得られた結果なのか、何を前提とした判断なのかが残っているか
3つ目は特に見落としやすい箇所です。ある条件の範囲で確認できた結果が、条件の記述なしにまとめられていると、読み手には一般的に成り立つ結論として伝わります。R&Dの資料では、この差が判断の確からしさを変えます。
読むタイミングは2通りあります。テキストの段階で細かく読む方法と、資料の形にしてから読む方法です。最終的な成果物は資料であるため、資料化後の確認は残ります。テキスト段階でどこまで詰めるかは、どちらのほうが見落としが少ないかによって変わります。自分がどちらで気づきやすいかを、一度試して決めておくと迷いません。
意思決定者向けに要約するとき、何を残し、何を落とすか
記録として残す内容と、判断してもらうために報告する内容は、目的が違います。ここを分けずに要約すると、報告が使いにくくなります。
検討した過程は、記録としては残す価値があります。再現性の確認、後任への引き継ぎ、技術的な説明の根拠になるためです。一方、判断してもらうための報告は、目的、手段、結果がつながる線に絞ります。
技術者の報告では、次の2つが起きやすくなります。
- 検討した内容をすべて報告してしまい、判断に必要な情報が埋もれる場合です。取り組んだ量を示す意図がなくても、結果として読み手が判断に必要な情報を探す状態になります。
- 当初の目的や目標から離れた検討を進め、そのまま報告する場合です。技術検討では、細部の課題に入っていくうちに、前提として置いていた目的から距離ができることがあります。報告の段階では気づきにくく、読み手からは、なぜその検討をしたのかが見えない状態になります。
生成AIは、2つ目を見つける手がかりになります。目的と目標を先に渡したうえで要約させると、目的とつながらない検討内容が浮き上がります。逆に、目的を渡さずに要約だけを頼むと、離れた検討もそのまま整った形で返ります。目的を渡すこと自体が、検討のずれを確認する工程になります。
要約から落とす判断は自分が行います。落とした内容が判断に不要だったかどうかは、読み手が何をもとに決めるかを知っている側にしか分かりません。
資料の種類別に、任せる範囲を分ける
実験や検討の報告書
条件と結果は自分で入れます。試験条件、測定条件、評価の前提は、書き手にとって当たり前でも、読み手には再現の手がかりになります。生成AIに要約させると、この部分が省かれやすくなります。
任せられるのは、結果から結論への流れの組み立てと、読み手に応じた説明の順序です。確認するのは、条件付きで得られた結果が、条件なしの結論として書かれていないかです。
社内の提案資料
テーマの提案や、設備・評価への投資を判断してもらう資料では、目的、想定する効果、前提、想定されるリスクを揃える必要があります。このうち、前提とリスクは書き手の頭の中にあって書き出されないことが多い項目です。
自分の案を先に出し、抜けている観点や想定される反論を指摘させる進め方が向きます。返ってきた観点が自社の状況に当てはまるかは、自分で確認します。
議事録と技術メール
発言をそのまま要約させると、条件付きの発言から条件が落ちることがあります。決定した事項と、保留のまま持ち帰った事項を分けて渡すと、この混同が起きにくくなります。
技術メールでは、読み手が社内か、関係会社かによって、使ってよい用語の水準が変わります。誰に送るものかを先に伝えます。
使い始める前に確認すること
- その報告そのものが必要か:作成の負担が軽くなると、必要性を見直す機会がないまま作り続けることになります。頻度、宛先、判断への使われ方を確認すると、効率化ではなく削減が答えになる場合があります
- 社内のルール:どのサービスを、どの利用形態で使ってよいか、どこまでの情報を入力してよいかは、勤務先のAI利用ルールと情報システム部門の指針に従います
- 記録の形式:もとになる記録が紙や画像のままだと、渡す前の手間が大きくなります。日々の記録をテキストで残しておくと、資料作成の入口が短くなります
文章が成立していれば、資料の形は後から決められます
任せてよいかどうかの判断は、次の一点で足ります。文章だけを読んで内容が伝わるなら、資料の形にする作業は任せられます。文章だけでは伝わらない場合、スライドにしても伝わりにくくなります。このとき足りていないのは体裁ではなく、言語化の5項目のどれかです。
Amazonでは、スライドを用いたプレゼンを行わず、会議冒頭に文章形式の6ページの文書を黙読する運用が公式に説明されています。Amazonは、スライドは要約の水準に留まりやすく聴衆が本質的な課題を理解しにくい一方、文章形式の資料はより詳細で議論しやすいと説明しています。これは特定企業の運用であり、どの組織にも当てはまる一般則ではありません。
文章が成立していれば、そこから先の形は選べます。対応する生成AIや変換ツールを使えば、その構造を基に文書ファイル、スライド、社内で共有するHTMLなどへ変換できます。ただし、形式ごとのレイアウトや一部の要素は調整が必要で、表計算や図の下書きを含む出力可否は、利用する環境の対応機能によります。提出先や場面に応じて出し分けられるため、形を先に決めておく必要がありません。
順序としては、文章を作る工程が先で、形にする工程が後です。この順で進めると、内容の不足に気づける状態を保ったまま、体裁の作業だけを任せられます。
同じ文章から、読み手を変えて書き分けられます
読み手が変われば、同じ事実からでも残す内容が変わります。この書き分けも、もとになる文章があれば変換の作業になります。
そりの対策を検討している中間報告を例にすると、違いがはっきりします。
技術者どうしの共有では、次のようになります。
現在もそり変形は規格を外れており、成形後の矯正で出荷を継続しています。矯正を続ける限り工数と品質のリスクが残ります。保圧を上げる案ではそり量が改善しましたが、バリが発生し、除去の工程が増えます。低そりグレードへの変更も評価し、強度は規格を満たしましたが、材料変更にあたるため顧客の承認が必要で、承認時期は見通せていません。形状変更は、相手部品との嵌合部の寸法が決まっているため選べません。流動解析では、そり量を抑えられるゲート位置のパターンを確認しており、適用には金型改造が必要です。現時点ではゲート位置の変更を優先案としており、今週中に金型メーカーへ改造範囲・費用・期間を確認する予定です。改造の実施については、その結果を確認してから判断します。
同じ内容を、金型改造の具体化と見積り取得を進めるか判断してもらう相手へ向けると、次のようになります。
ゲート位置の変更を優先案として、金型改造の具体化と見積り取得を進めることについて、了承をお願いします。現在もそり変形は規格を外れており、成形後の矯正で出荷を継続しているため、工数と品質のリスクが残っています。流動解析でそり量を抑えられるゲート位置のパターンを確認していることが、この案を優先する理由です。ほかに保圧を上げる案と材料を変更する案を評価しましたが、前者はバリ除去の工程が増え、後者は顧客承認の時期が見通せません。今週中に金型メーカーへ改造範囲・費用・期間を確認し、次回報告します。改造の実施については、その結果を踏まえて別途承認を求めます。
前者は、各案で何を確認し、何が残っているかを対応づけて残しています。後者は、判断してほしいこと、推奨する案、その根拠を先に置いています。落としたのは、評価した条件、流動解析で得たパターンの内容、強度の評価結果です。これらは記録として残す側に置きます。
事実は同じで、変えているのは何を残すかです。この書き分けは生成AIに任せられます。ただし、目的を渡さずに要約だけを頼むと、各案の評価結果が並んだ文章が返り、何を判断してほしいのかが読み取れないものになります。
資料の好みも同じように扱えます。結論から示してほしい人、背景と目的を先に置いてほしい人、文字を減らして図表を中心にしてほしい人、詳細まで書き込んだ資料を求める人がいます。これは中身の取捨ではなく、提示の仕方の違いです。同じ内容から、それぞれの形へ作り分けられます。
一度受けた指摘や好みを書き出して残し、次に同じ読み手向け資料を作る際に渡せば、同じ指摘の見落としや対応のやり直しを減らせます。

判断早見表
資料の種類と状況によって、先に確認することは変わります。
報告書や提案資料を書く場合
- 先に渡すこと
- 読み手、その人に判断してほしいこと、目的、制約を先に伝えます。
- 自分で行うこと
- 実験結果、試験条件、数値の用意と、技術的な結論の判断を自分で行います。
- 受け取る形式
- テキストかマークダウンで受け取り、内容を確定させてから資料の形にします。
- 確認すること
- 条件付きで得られた結果から、条件が落ちていないかを確認します。
上層部向けに要約する場合
- 先に渡すこと
- 当初の目的と目標を、検討内容と一緒に渡します。
- 分けること
- 記録として残す内容と、判断のために報告する内容を分けます。
- 確認すること
- 目的、手段、結果がつながっているかを確認します。つながらない検討が残っている場合、報告の前に整理が必要です。
- 自分で決めること
- 何を落とすかは、読み手が何をもとに判断するかを知っている自分が決めます。
同じ内容を別の読み手向けに作り直す場合
- 判断すること
- もとになる文章だけを読んで内容が伝わるかを確認します。伝わるなら、資料の形にする作業は任せられます。
- 渡すこと
- 読み手の好み(結論を先に置く、背景から入る、図表を中心にする、詳細まで書く)を伝えます。
- 残すこと
- 一度受けた指摘を書き出して残し、次に同じ読み手へ出すときに渡します。
作らせてみたが、使える資料にならなかった場合
- 振り返ること
- 誰に、何のために、何を、どのように、どの制約のもとで、という5つのうち、渡していなかった項目を確認します。
- 変えること
- 指示の書き方を工夫する前に、渡す情報を増やします。
- 確認すること
- 返ってきた内容が一般論に留まる場合、前提が不足している可能性があります。
議事録や技術メールを扱う場合
- 分けること
- 決定した事項と、保留のまま持ち帰った事項を分けて渡します。
- 伝えること
- 送り先が社内か関係会社かを伝え、使ってよい用語の水準を示します。
- 確認すること
- 条件付きの発言から、条件が落ちていないかを確認します。
何から始めるか決まっていない場合
- 試すこと
- すでに書き上げた報告文書の校正から始めます。良し悪しを読んで判定できるためです。
- 次に読む記事
- 使い始めの段階の進め方を扱う記事です。
- 全体を確認する記事
- 何を任せ、何を自分で行うかの考え方を扱う記事です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 技術的な内容も書かせてよいですか
書かせるのは説明の組み立てまでです。実験結果、条件、数値、そこから導く技術的な結論は自分で入れます。技術的な話題を相談してはいけないという意味ではありません。自分が確認できる情報を渡したうえで、説明の順序や表現を相談する形であれば、誤りが混ざっても元の情報と照らして確認できます。
Q2. 生成AIで書くと、文章力が身につかなくなりませんか
作業の中身が入れ替わるため、必要になる力も変わります。減らせるのは、文章を一から書き起こす作業です。増えるのは、返ってきた文章を読み、用語、言い回し、条件の残り方を判定する作業です。適切かどうかを判定するには、どう書くべきかが分かっている必要があります。判定する側の力は、使うほど求められます。
Q3. 読みやすくまとまっていれば、そのまま報告してよいですか
読みやすさと内容の妥当性は別です。生成された文章は体裁が整うため、前提が抜けていても、条件が落ちていても、それらしく読めます。読みやすい文章ほど、内容の確認を省きたくなる点に注意が要ります。確認する対象は、技術的な主張、条件、前提の3つです。
Q4. 一枚だけの資料でも、任せる意味はありますか
あります。もとになる文章ができていれば、一枚でも整った形になります。自分で作るほうが早いと感じる場合、伝え方がまだ定まっていないか、すでにある資料を修正して使う進め方になっていることが多くなります。後者はもとの資料が使える限り速い方法ですが、内容が変わるほど修正の手間が増えます。作り直しが繰り返し発生している業務では、文章から作る進め方に切り替える判断ができます。
Q5. 顧客へ提出する資料にも同じ進め方が使えますか
社外向けの文書は、記載してよい範囲や書式が定められていることが多く、進め方が変わります。入力を定型化し、決められた形式へ出力する仕組みが中心になり、生成AIが担うのはその一部です。まず社内資料で確認の勘所をつかんでから検討する順序が進めやすくなります。提出可否と情報の取り扱いは、勤務先のルールに従います。
Q6. 長い報告書を一度にまとめて作らせてよいですか
分量が大きいほど、修正の往復で読む量が増えます。章ごとに区切り、内容を確定させてから次へ進むと、修正の往復で読む範囲を限定でき、どこを直すか指示しやすくなります。
まとめ
社内資料を生成AIで作るときの判断は、ツールの選択ではなく、何を言葉にして渡すかから始まります。
資料は、内容、構成、形式に分けられます。任せられるのは構成と形式で、事実は自分で用意し、技術的な判断も自分で行います。資料作成の工数は減らせる場合がありますが、減り方は一様ではありません。ソフト操作やレイアウト作業の削減幅は利用環境と資料によって変わり、技術内容の確認は残ります。返ってきた文章を読む作業は増えます。この読む工程は、R&Dの資料では省けません。専門用語、言い回し、そして条件や前提が残っているかを見る作業が、資料の確からしさを保ちます。
そして、文章が成立していれば、そこから先は変換の作業になります。対応する生成AIや変換ツールを使えば、文書ファイル、スライド、HTMLなどへ変換できますが、形式ごとの調整は残ります。読み手を変えた書き分けもでき、一度受けた指摘や好みを渡せば、同じ指摘の見落としや対応のやり直しを減らせます。裏を返せば、資料づくりの中心は、文章を成立させるところへ移っていきます。言語化に時間をかけることは、その資料のためだけの作業ではありません。
次の行動は3つです。
- 次に作る報告資料で、誰に、何のために、何を、どのように、どの制約のもとで、を先に書き出す
- 受け取る形式をテキストかマークダウンにして、内容を確定させてから資料の形にする
- 一度受けた指摘を書き出して残し、次に同じ読み手へ出すときに渡す
書き出せた分だけ、後で作れる資料の幅が広がります。
資料作成は、生成AIを業務で試す入口として選びやすい業務です。読み手も自分も社内にいるため、返ってきた内容の良し悪しを自分で判定できます。まだ使っていない場合は、どの作業から任せるかを扱う記事から入ると、判断できる作業を選びやすくなります。
参考資料
- テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン(独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生 生成AIのセキュリティリスクと対策プロジェクト)
- Experimental evidence on the productivity effects of generative artificial intelligence(Science / Shakked Noy and Whitney Zhang)
- 2017 Letter to Shareholders(Amazon)
- CEO Andy Jassy’s 2024 Letter to Shareholders(Amazon)



